着物を購入したらついてくる「たとう紙」についてご存知ですか?
たとう紙は、着物を綺麗に保管する上で重要な役割を持つ収納用の和紙です。しかし、具体的な使用方法については案外知りませんよね。
そこで今回は、
- たとう紙の概要
- たとう紙は交換が必要。取り扱い方について
- たとう紙の代替品は100円ショップで手に入る
- 着物を長持ちさせる方法
の順で解説していきます。
着物を適切に保存するためにぜひとも知っておきたい内容ですので、ご一読ください。
目次
たとう紙とは
「たとう紙」とは、着物や帯をキレイに保管しておくために使われている収納用の紙です。
漢字では
- 畳紙
- 帖紙
- 多当紙
と書きます。
読みに関しても地域によって異なり、
- たとうし
- たとうがみ
- たたみがみ
と呼びます。
単に「たとう」と呼ばれることもあり、関西圏では主に「文庫紙(ぶんこし、ぶんこがみ)」と呼ばれています。今回の記事では統一して、「たとう紙」と表現させていただきます。
・たとう紙の特徴
たとう紙は和紙で作られており、触ってみると普通の紙よりも張りが強いのがわかります。
たとう紙が着物などのデリケートなものを保存するのに適しているのは、以下のような理由からです。
- 通気性に優れており、除湿効果が高い
- カビの発生を防ぐ
- シワにならないように保存可能
- そこまでコストがかからない
着物は非常に湿気に弱く、ひどい場合はカビが発生するリスクがあります。たとう紙に包んで保管しておくと除湿効果に期待できるので、そのリスクを限りなく減らせます。
また紙製なので布の収納袋のように分厚くなく、平らな状態で保管できるのでシワが付きにくいメリットもあります。
呉服店やデパートなどで和服を購入した際は、基本的にたとう紙が付いてくるので実質無料で入手できます。ご自身で購入しても、そこまで高額なものではない点はありがたいですね。
たとう紙は交換が必要
たとう紙は、最初にもらったものを永遠に使うことはできません。使用方法における注意点をご紹介しますね。
たとう紙には有効期限ある
湿気を防ぐのに便利でメリットの多い「たとう紙」ですが、完全に万能ではありません。
同じたとう紙を長期間使い続けると、たとう紙から着物に湿気が再び移ってしまうことがあります。
また、たとう紙には製作過程で「糊(のり)」が使われています。糊が劣化すると、害虫を引き寄せて虫食いの原因になる可能性があります。
以上のような理由から、たとう紙には有効期限があり、定期的な交換が必要です。
使用状況や保管場所にもよりますが、一般的なたとう紙の有効期限は「約1年~2年」です。基本的には1年に1回交換するようにし、最低でも2年に1度は必ず交換してください。
ただし
- たとう紙に黄色や茶色のシミが見られる
- 触ってみると、水分を吸ってしんなりしているのがわかる
ような場合は1年が経過していなくても、早急に交換しましょう。
交換に適している時期
最も交換に適していると言える時期は、「梅雨明け~10月」頃です。
梅雨の時期にはいつもよりも多量の湿気を吸いますので、梅雨の前に交換しても二度手間になる可能性があります。最近の日本は梅雨が明けても湿度の高い猛暑日が続いたり、台風が頻繁にやってきたりするので、9月下旬~10月の空気が乾燥し始める時期がベストでしょう。
またたとう紙の交換を含め、着物のメンテナンスについては手を付け始めると意外に時間がかかるものです。年間のスケジュールを鑑みて、時間に余裕があるときに行うようにし、毎年の習慣づけとするのがおススメです。
たとう紙の代わりになるアイテムは100均で購入できる
たとう紙が簡単に手に入らない場合の代替案をご紹介しますね。
大手100円均一ショップに売っている商品が、たとう紙の代わりに使用できます。
1つ目が「着物収納袋」の名で売られている商品です。着物収納袋がたとう紙と比較して優れているのは以下の点です。
- 収納袋はファスナーが付いており、開閉が手軽
- 不織布でつくられているので軽く通気性にも優れる
たとう紙は一般的に紐を結んで収納が完成します。一方で、収納袋はファスナーで簡単に開閉ができ、軽くて丈夫なので持ち運ぶのにも便利です。
2つ目におすすめなのが、「ダウンジャケット用の収納袋」です。和服用に作られているものではありませんが、着物の帯を入れるのにぴったりのサイズです。着物本体も三つ折りにすれば入れられるので、併用できるのが嬉しいですね。
また100円ショップで手に入るので、毎年交換するという点においてもコストがかからないメリットもあります。
着物は長持ちさせるために大事なこと
それでは続いて、たとう紙もしくは収納袋にしまった後の保管について、着物のコンディションを保つのに大切なポイントをご紹介します。
保管に最も適している場所は「桐たんす」
たとう紙に収納した後は、必ず湿気の少ない場所で保管するようにしましょう。
最も適した保管場所は、やはり「桐たんす」です。なぜなら和服の天敵は湿気で、桐はその弱点を補う性質を持っているからです。
桐は湿度の高いときは膨張し、低いときは縮む性質を持っています。この調湿効果に加え、抗菌効果をあわせもつため、着物を収納するのに最高の環境なのです。
桐たんすがなければどこに保管すれば良い?
桐たんすを持っていない場合は、衣装ケースと呼ばれるようなプラスチック製のケースでも基本的には問題ありません。
ただし桐たんすのように、自動的に湿度を調節する機能はないので、市販で売られている「着物専用」の防湿剤をうまく使って収納してください。
間違っても、羽織や着物を購入した際にもらえる「紙箱」で保管するのは絶対にやめましょう。これらの紙箱は、あくまでも暫定的な保管場所であり、湿気対策にはならないので注意してくださいね。
防虫剤も忘れずに入れよう
着物が虫の被害に遭わないために、防虫剤を入れる事も忘れないよう気を付けたいポイントです。
注意点としては、
- 種類の異なる防虫剤を併用しない
- 防虫剤を入れるときは、着物の記事に直接触れないようにする
などが挙げられます。
↑湿気やカビ、虫からお着物を守る「きものキーパー」
ファスナーで密封される為、安心です。
定期的に虫干ししよう
「虫干し」とは、着物を外に出して専用のハンガーにかけ、日陰干しにすることを意味します。着物に風通しをし、乾燥させるために行います。
年に3回ほど実施するのが理想ですが、タンスにしまっている状態でも、少なくとも半年に1度は外に出して虫干しをしましょう。
虫干しをすることで、虫食いやカビの被害を防ぐことができます。同時にたとう紙も交換できれば、一石二鳥ですね。
まとめ
今回は、大切な着物を状態良く保管するために必要な「たとう紙」について詳しく解説しました。
たとう紙に関しておさらいしておきますと、
- たとう紙は、和紙で作られた着物を包む紙のことで、吸湿性・通気性に優れる
- カビの発生を防ぎ、シワにならないように保管できるメリットもある
- たとう紙は消耗品で有効期限があるため、最低でも1年~2年に1度は新しいものに交換する必要がある
たとう紙が用意できない場合の代案としては、100円ショップで手に入る着物収納袋やダウンジャケット用の袋がおススメです。
着物を可能な限り長持ちさせるためには、調湿効果のある桐たんすが保管場所として最適です。桐たんすでなくとも、比較的容易に手に入るプラスチック製の衣装ケースを使っても構いません。ただし、防湿材や防虫剤をうまく使ってください。
定期的に虫干しをするなど、メンテナンスを怠らないことがポイントですよ。