レトロ着物は、レトロモダンやモダン着物のようなカジュアルな着物のことを指していると思っている方が多いですが、実際には細かい違いがあるのをご存知でしょうか。レトロ着物を着るシーンによって、柄の意味を考えながらコーディネートすると、今まで以上にレトロ着物を着るのが楽しくなります。この記事では、レトロ着物は他の着物と何が違うのか、詳しく解説します。
目次
レトロ着物とは
レトロ着物と他の着物の違いはどこなのか、それぞれの着物の特徴を挙げながら違いについて詳しく解説していきます。
レトロ着物について
レトロ着物とは、古い着物という意味ではなく、昔から使われている伝統的な柄を使った着物のことを言います。
レトロという言葉には「懐古的な」という意味があり、単純に古いではなく「昔を懐かしむ」という意味が込められています。
代表的なレトロ柄には、椿、金魚、菊、桜などがあります。最近では、振袖でもレトロ着物を選ぶ方が増えています。
古典柄着物との違い
古典柄とは、縁起のいい意味が込められている柄のことで、中国から伝わったと言われています。古典柄には厄除けや魔除けと言った意味があるため、新しい門出を祝うようなおめでたい席で着用する振袖に使われることが多いです。
古典柄着物といえば、松竹梅や鳳凰などの縁起の良い柄が使われている「吉祥文様」や、唐草文や花菱が使われている「有識文様」が有名です。
レトロモダン着物との違い
レトロモダンという言葉には、「昔を懐かしむものを現代的にアレンジ」するという意味があります。例えばドット柄のような現代風な着物に、椿や桜の柄を組み合わせているような着物が代表的です。都会的でありながらどこか懐かしい雰囲気を思わせる柄を使っているものを、レトロモダン着物と呼んでいます。
モダン着物との違い
モダンには「現代的な」「近代的な」という意味があります。
モダン着物は、おしゃれを重視した着物の装いのことを指します。ドット柄やバラといった、西洋をモチーフとした色柄が特徴です。
アンティーク着物との違い
大正から昭和初期頃に仕立てられた着物のことをアンティーク着物といいます。
着物の中でも特に人気の高い「大正ロマン」は、まさにアンティーク着物の装いのことを指します。
現代的な柄が多く、特に着物の中でも個性的な色柄の組み合わせが多いのが特徴です。中には希少価値の高いアンティーク着物もあり、インターネットのオークションやアンティーク着物専門店で取引されています。
レトロ着物の柄
レトロ着物に使われている柄には、一つひとつ意味が込められています。ここでは、代表的な柄の意味について詳しく紹介します。
椿
椿の柄には、「永遠の美」という意味が込められています。
レトロ着物の中でも特に代表的な柄で、個性的で可憐な印象を与えてくれます。椿は大きめに描かれることが多い柄なので、高身長の方によく似合います。
紫陽花
紫陽花柄は、主に浴衣で使われる事が多く、「辛抱強い愛情」という意味があります。
小花を一つの大きな紫陽花の花として描いているので、どんな方にも似合う柄です。紫陽花柄は、カラフルな色は可愛く、モノトーンだと大人っぽく上品な印象になります。
麻の葉
麻の葉柄には、「すこやかな成長」「魔除け」といった意味があり、赤ちゃんの産着として使われることも多いです。
正六角形の幾何学模様はレトロ着物の定番であり、愛らしい印象を与えてくれます。
金魚
金余(きんよ)という中国の言葉にかけて、裕福・豊かさの象徴と言われています。
涼しげな雰囲気のある柄なので、夏の着物や浴衣によく使われています。選ぶ色によって、大人っぽい印象にもかわいい印象にもなるので、年齢問わず着こなせる柄です。
朝顔
朝顔柄には「固い絆」や「愛情」という意味があります。
涼やかな印象を与えてくれる朝顔は、浴衣や夏着物に使われることの多い柄です。子どもにはブルーや紫などの爽やかな色を、大人には紺や紫のモードな雰囲気で着こなすとおしゃれです。
梅
梅柄には、「忍耐」「力強さ」という意味があります。
梅の花の形や朱色は、和モダンで大人っぽい印象を与えてくれます。伝統的な着物柄として使われることが多いですが、色や小物との組み合わせで、レトロな雰囲気に変わります。
菊
日本では最も格式の高い柄で、「不老長寿」や「邪気払い」の意味があります。フォーマルな場面で利用されることが多い柄で、清楚な印象を与えてくれます。
とんぼ
とんぼは「勝ち虫」と言われ、五穀豊穣、繁栄の象徴といった意味があり、縁起が良い柄です。浴衣に使われることも多く、大人っぽくて粋な印象を与えたい人にぴったりです。
桜
「新しい門出」という意味の桜柄は、振袖によく使われる柄です。
華やかで明るく春らしい柄なので、柔らかい女性らしい雰囲気を与えてくれます。小花が散りばめられている図柄が多いので、低身長の人におすすめです。
レトロ着物の色
レトロ着物は、柄以外に組み合わせの色にも特徴があります。特に人気がある色と組み合わせをご紹介します。
紺
紺はレトロ着物の中でも特に人気の高い色で、流行にとらわれない落ち着いた印象を与えてくれます。紺とオフホワイトは清楚なイメージに、紺と朱色や黄土色はレトロモダンな印象になります。
赤
華やかで明るい印象の赤は、振袖の定番色です。日本女性らしいモダンな印象を与えたい方は、赤と紺やグリーンの組み合わせがおすすめです。
黄
黄色は、色の濃さによって様々な雰囲気を楽しめる色です。濃い黄色になるとモダンで大正ロマンな印象に、爽やかな黄色はレトロな印象になります。
白
清楚でフォーマルな印象が強い白ですが、合わせる色によって様々な装いに変わる定番色です。ストライプやドットのような現代的な柄と組み合わせると、クールでスタイリッシュな雰囲気になります。
黒
黒はモード系の印象ですが、赤や朱、緑などと組合せることで簡単にレトロな印象に変わります。黒と白にドット柄やストライプは、レトロ着物の組み合わせの王道です。
緑
大正ロマン風や昭和レトロ風に仕上げたい場合は、緑をベースにすると簡単にレトロな雰囲気が作れます。緑は原色系との相性が非常に良いので、ポップな印象を与えたい人は緑と赤やオレンジがおすすめです。同じ緑の濃い色と薄い色で組み合わせると、モダンでおしゃれな印象になります。
レトロ着物に似合う小物
レトロ着物をおしゃれに着こなすために重要なのが小物です。小物を変えるだけで、レトロ着物に現代的な雰囲気を与えられます。レトロ着物にぴったりの小物とコーディネート例を見てみましょう。
兵児帯
兵児帯は、子どもと男性用に作られた帯で、生地が柔らかく幅が広い帯です。
最近ではおしゃれ目的で女性用の兵児帯も作られるようになり、注目を集めています。兵児帯の生地は縮緬や木綿で作られおり、ふわふわとボリュームがあるのが特徴です。リボン結びや花結びのように、ボリュームを出してかわいく結ぶのがレトロ着物のポイントです。兵児帯を選ぶときは、はりのあるもの、長さがあるものにしましょう。
パールアクセサリー
パールの上品な輝きは和服と相性ピッタリです。
イヤリングやピアス、帯締め、カチューシャなど、レトロ着物と合わせると華やかでモダンな印象になります。パールのサイズは小さめのものがおすすめです。
華やかにしたい時はゴールドパールがおすすめですが、クールな雰囲気の時もブルーパールやシルバーパールを合わせると上品でおしゃれです。パールは汗に弱いので、使った後はしっかり拭いておきましょう。
レースアイテム
レトロ着物とレースは非常に相性が良く、レトロ着物には欠かせないアイテムです。和と洋の印象が上品に混ざり合って、ガーリーな雰囲気に仕上がります。レースアイテムの中でも特に人気のアイテムの特徴を紹介します。
レトロバッグ
▼フリルネックインナー
下着代わりに着るレースのインナーです。襟元からレースを覗かせるとフェミニンな印象になります。
▼レースリボン
帯やバッグの飾りとして使うだけで、華やかな印象になります。帯締めとしてアクセントに使ってもかわいいです。
▼レースグローブ
着物と合わせると大人っぽいエレガントな雰囲気になります。
▼レース足袋
足元にレースを入れるだけで、全体の雰囲気がレトロな印象になります。風通しがいいのに蒸れにくいのもおすすめです。
ベレー帽
ベレー帽そのものにレトロ感があるので、着物と合わせるだけでレトロでモダンな雰囲気になります。ベレー帽の色を帯や半襟の色と合わせると統一感があっておしゃれです。
レトロ着物に似合う髪型
着物姿の雰囲気は、髪型によっても大きく左右されます。レトロ着物には、モダンでガーリーな髪型が非常によく似合います。今、着物に合わせる髪型で特に人気の高いスタイルをご紹介しましょう。
アシンメトリカル
片側がボブ風で、もう片方はスッキリとストレートにした、左右非対称なスタイルです。
膨らんでいる側を低めの位置に、スッキリしている側を高めにするとモダンな印象になります。
ガーリーおだんご
さっと手ぐしでまとめただけのようなおだんごヘアです。前髪はポンパドールに、おくれ毛はふわりとカールをかけるとガーリーな印象になります。
シニヨンヘア
髪全体を後ろにまとめた、和装らしいスッキリとしたスタイルです。モードでシックな印象がありますが、まとめるところはスッキリまとめて、シニヨン部分はふんわりとさせると可愛らしい印象も与えてくれます。
まとめ
レトロ着物は、柄や色の組み合わせによって自分だけの個性的な装いを楽しめます。一般的な着物よりもカジュアルな着こなしをしてみたいと思っている方はもちろん、初めて着物を着る方も、レトロ着物なら自分らしい着こなしを楽しめます。最近では、レトロ着物に合う小物もたくさん販売されています。今までの着物のイメージとは違う、カジュアルな着物を楽しんでみてください。