着物で舞台を観に行きたいと思う方は、多くいらっしゃいます。
しかし「着物で観劇はマナー違反と聞いたことがあるから不安」と感じ、ためらっている人も多くいるのではないでしょうか。
そんな着物の観劇初心者の皆様のために、今回は観劇マナーと注意点を解説いたします。
基本的な観劇マナーに加え、着物の時の注意点を守れば着物でも大丈夫です!!
目次
そもそも着物で観劇ってマナー違反なの?
まず、そもそも着物で観劇すること自体は全然マナー違反ではありません。
好きな服を着ることが制限されるべきではありませんし、着物ならではの特徴や問題を認識しておき、事前に準備をしたり気を付けたりするようにすれば問題は無いのです。
マナーを守らないと迷惑がられることに・・
着物観劇自体に問題がある訳ではありませんが、周りの人のことを考えてマナーを守ることができなければ、迷惑がられてしまいます。
着物を着ていると普段の生活とは勝手が違う点が多々あるのですが、意識していないといつも通り過ごしてしまい、気づかぬうちに周囲に迷惑をかける事にもなりかねないのです。
また、当然ながら衣服の種類に関わらず守るべきマナーにも気を付けておかなくてはいけません。
観劇の基本マナー
着物観劇におけるマナーを確認する前に、まずは観劇をする上での基本マナーを押さえておきましょう。
1:携帯電話は必ず電源をOFFに
まず、携帯電話の電源は必ずOFFにしておきましょう。
観劇中に万が一にも音が鳴ってしまってはせっかくの舞台が台無しであり、他の観客はもちろん演者の皆さんにも迷惑がかかります。
「マナーモードにしておけばよいか」と思う方もいるかもしれませんが、音を消してカバンの中に入れていてもバイブ音は割としっかり聞こえてしまうものです。
特に舞台に集中したいと思っている時ほどそういった雑音は気になるものですから、気を付けましょう。
また、もしアラーム機能を利用していると電源をOFFにしていても電源が入ってしまうこともありますので、事前にチェックしておくのが無難です。
携帯電話から出るのは音だけではなく、チカチカした光が舞台の妨げとなったり、電波が機材に悪影響を及ぼしたりといったこともあります。
くり返しお話ししますが、携帯電話は観劇中に電源が入らないようにしておきましょう。
2:写真撮影は絶対にNG
上演中だけでなく、開演前や終演後も舞台の写真撮影は絶対にNGです。
「盗撮をしているんじゃないか」
「ルールを無視して勝手に取ってるのではないか」
上記のように周囲にあらぬ心配をかけないよう、自撮りをするのも紛らわしいので控えましょう。
撮影がもしOKであれば、会場側から何らかのアナウンスがあるはずです。
それが無い以上は、写真を撮るのは控えるようにしましょう。
3:音は立てずに喋らずに
上演中は舞台の上で起きている音以外会場になく、ちょっとした音でももの凄く気になるものです。
カバンやコンビニの袋をゴソゴソするのはもちろん、飴の袋を開ける音でさえ気になるものですから注意しましょう。
また、上演に感動してつい隣の人と話をしたくなることもありますが、こちらも周りの人からすれば非常に迷惑ですので控える必要があります。
季節によってはセキやくしゃみが出てしまうこともあるでしょうが、その場合はタオルで押さえる、あまりにセキがひどい様なら観劇は諦めるなどの配慮をすることが大切です。
4:なにより他の方の観劇の邪魔をしない
細かい点は数多くありますが、とにかくなにより他の方の観劇を邪魔しないようにすることが大切です。
- 舞台が見えづらくても前のめりになったら後ろに人が見えなくなるから控える
- 必要以上に無駄な動きを取らない
- 事前に禁止されていることは守る
- 遅刻は厳禁
- お手洗いは上演前に済ませておく
上記のようなことは基本的に守るようにしましょう。
観劇の際は着物は何を着たらいい?
観劇の際にはおすすめできる着物のスタイルがあります。
そのためここでご紹介するのは、おすすめの着物と帯のコーディネートポイントです。
訪問着・付下げ・色無地・江戸小紋などがおすすめ
歌舞伎や寄席、舞台に着物を着ていくのであれば、訪問着や付下げ、色無地、江戸小紋などがおすすめです。
これらの着物はカジュアルなシーンでも着用できるうえ、格式の高いものを選べば格の高い局面でも着用することができます。
特に牛首紬やしょうざん紬と言った後染めの訪問着は多くの人が着ていますし、大島紬に能州紬などと言った先染め織の訪問着も魅力的です。
黒めの色合いでは少々暗い印象を与えますから、白っぽい華やかなものを選ぶのが良いでしょう。
→ バイセルの「訪問着」一覧はこちら
→ バイセルの「付下げ」一覧はこちら
→ バイセルの「江戸小紋」一覧はこちら
帯のコーディネートのポイント
観劇に適した帯のコーディネートは以下のようなものです。
・訪問着の場合
オリカ染の袋帯など
・付下げ・色無地・江戸小紋の場合
色香染の袋帯、九寸名古屋帯、八寸名古屋帯など
紬の着物なら、おしゃれ袋帯や名古屋帯がふさわしいでしょう。
木綿の着物を着るのであれば、八寸名古屋帯や半幅帯がおすすめです。
例えば、「小紋×小紋×名古屋帯」や、「紬×小紋×袋帯」などと言ったコーディネートが挙げられます。(楽天バイセルオンラインより引用)
観劇で着物を着る際のマナー!
基本的な観劇のマナーやおすすめの着物、着こなし方法を確認しましたので、ここからは観劇で着物を着る際のマナーについて共有いたします。
着物や帯の匂い、事前チェック
着物には独特の匂いがあり、普段着物を着ない人や周りに着物を着る人がいない人には不快に感じられることもあります。
日常的に着物を着た後は数日間陰干しして湿気を取ることを徹底するようにしましょう。
あまりに匂いが気になる方は洗濯をするか、クリーニングに出すというのも一つの方法です。
また、匂いを気にするあまり香水をつけすぎるのも避けた方が良いです。
劇場の密閉空間では香水の匂いがきつくなりすぎてしまう可能性があります。
帽子や髪型で後ろの人の視界を遮らない
着物を着る時には髪型にもこだわりたくなるものですが、ボリュームのある髪型や帽子で後ろの人の観劇を妨げないように気を付けましょう。
ヘッドアクセサリーは髪の下の方に小さめな物を付けるに留め、お団子頭など縦にボリュームが出てしまう髪型も避けるようにすべきです。
帽子をかぶってきた場合観劇中は必ず脱ぐようにし、カチューシャやヘッドドレスなども形によっては外しておいた方が無難かもしれません。
背中を座席につける、前のめりにならない
上演中は背もたれに背を付けて観劇するようにし、前のめりにならないように心がけることが大切です。
劇場の座席は、背中を座席につけることを前提として後方の席でも舞台が見える様に設計指されています。
ボリュームのある帯結びだとどうしても背中を背もたれにつけることができず前のめりになってしまうものですので、シンプルな結び方を選択するようにしましょう。
事前に自宅で椅子に座ってみて、確認をしておくことが大切です。
また、帯枕をタオルにする、観劇用に低反発素材にするなどの工夫も検討してみてください。
衣紋を抜きすぎない
襟の後ろをずらして首元を開け、女性らしい色気を醸し出す方法を、「衣紋を抜く」と言います。
衣紋を深く抜いて着こなしたいという人もおられるとは思いますが、深すぎると背中を背もたれにつけた際に衣紋がつぶれて着崩れしてしまう原因にもなりかねません。
普段よりも衣紋は抜き過ぎないように意識しておきましょう。
下駄など音がなる履物は避ける
先ほどお話しした通り上演中の物音は非常に気になります。
下駄などの音が鳴る履物は避けるようにしなければ、周囲の大迷惑にもつながるため気を付けましょう。
早めに着席・袂の確認
着物で観劇をする場合、いつもより早めに着席して袂を確認するようにしましょう。
もし座席が中央の場合、遅くなると他の方の前を着物で通らなくてはなりません。
着物だとどうしても通れない様な場合もあり得ますし、何より他の方にぶつかっては迷惑となってしまいます。
また、着物は袂が長いため意識していないと隣の席にはみ出してしまうこともありますから、早めに着席して確認するのが無難です。
トイレは手早く
多くの舞台は、劇間に休憩をはさみます。
特に女子トイレはどうしても混んで行列となってしまいますから、何をするにも時間がかかる着物を着てトイレに行くと周囲の目が気になってしまうこともあるのです。
いつも以上にお手洗いは手早く済ませるようにしましょう。
なるべく、観劇前にトイレを済ませておくのがベターです。
雑音を立てない
くり返しお話ししますが、観劇中に特に気になるのが、周囲の雑音です。
着物を着ていつもよりも動きづらさを感じていると何気ない気配りができなくなってしまうこともあり得ます。
雑音を立てないよう、いつも以上に意識するようにしましょう。
あまり体を動かさない
舞台の上演中には、体を揺らしたり貧乏ゆすりをしたりと体を動かすと、後ろの人が気が散ってしまうかもしれませんから控えましょう。
着物を着慣れていないと座りごごちの悪さや違和感が出てきてしまうこともあるかもしれませんが、ここで体を動かしてしまっては、周囲の迷惑ともなりかねません。
まとめ
着物を着ての観劇は多くの女性が憧れるものですが、着物ならではの注意しなければいけないマナーも存在します。
ただし、マナーさえしっかりと守っていればもちろん問題ありませんので、着物を着て楽しく観劇に出かけましょう。