着物の付け下げと訪問着の違いを徹底解説!5つのポイントに注目して見分けよう

着物_付け下げ_訪問着_違い

「付け下げと訪問着って何が違うのかな…」と疑問をお持ちの方はいませんか。

どちらも女性用の外出着ですが、その違いを判断するのは初心者では非常に難しいです。

そこで今回は、

  • 付け下げと訪問着の違いとは?
  • 付け下げと訪問着の特徴と用途
  • 見分ける際の5つのポイント

の順で詳しく解説します。

本記事では、付け下げや訪問着の基本情報を押さえつつ、見極めポイントを具体的に解説していきます。概要をつかめばそこまで難しいことではありませんので、是非ご一読ください。

目次

付け下げと訪問着の違いとは?

付け下げ_訪問着_違い

付け下げと訪問着の大きな相違点は以下の4点です。

  • 付け下げは反物の状態で巻かれて置かれている状況が多いが、訪問着は仮絵羽(仮で縫われた状態)の形
  • 付け下げは反物のまま染めるが、訪問着は白生地を裁ってから染める
  • 付け下げよりも訪問着のほうが格が高い
  • 柄が豪華なのが訪問着で、控えめなのが付け下げ

どちらも外出着ですが、ランクが違うため着ていく場面や印象も異なります。実際にどちらかをチョイスしなければならない場合は、参加するイベントの雰囲気や求められる格式レベルを考慮した使い分けが重要なポイントになります。

そもそも付け下げと訪問着とは?

付け下げ_訪問着_特徴

着物に精通する人でもその差が分かりにくいと言われますが、それぞれの特徴を詳しく見れば初心者でもある程度見極められるので安心してください。

付け下げとは?

・概要
太平洋戦争中の日本において、贅沢が禁止されたことにより誕生したオシャレ着の和服です。よって、古くからあると思われがちですが意外にもそれほど古い歴史は持っていません。

誕生時こそ遊女や芸妓の仕事用として使われていましたが、昭和30年代に入り一般層にも広く普及しました。和服の中では割安な金額で手に入り、それでいて様々なシチュエーションで着られる汎用性の高さから人気に火がつきました。

・特徴
反物のまま染めるという特徴があります。ゆえに柄が縫い目にかからないよう染色します。
着た時に全ての柄が上を向き、左右の身頃や肩から袖にかけて模様は繋がっていません。また、既婚未婚を問わず着られるのも魅力の1つです。

・主な用途

  • 入学式および卒業式
  • 小さなパーティーや同窓会
  • 軽めのお茶会
  • お客様宅への訪問
  • 観劇

など、少しあらたまったお出かけの際に相応しい和服です。

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訪問着とは?

・概要
大正時代初期に現在の三越百貨店が名付けて売り出したのが発端です。開発当初は、絵羽模様に限らず、お客様宅に訪問するのに申し分のない着物という意味合いが込められていました。

こうした理由から、当初は三つ紋を付けて仕立てるのが重要なポイントでした。現在では一つ紋か紋の無い状態で仕立てられる事がほとんどです。

・特徴
「絵羽」と言われる模様付けが最大の魅力です。その方法としては、まず生地を採寸した通りに裁断したのちに仮で縫います。仮の着物として仕立てた時点で、不自然がないよう模様を付けます。その後、再びほどいて染色する流れです。

染める段階で、帯の上下を含むすべての面が対象なので、縫い目に関係なく模様が描かれます。

・主な用途

  • 結婚式および披露宴(親族として出席の場合は不適)
  • お見合い
  • 正式なお茶会
  • パーティーなどの華やかな行事

などのあらゆるシーンに対応できます。様々な社交的場面で着られる和服として、大変重宝します。

訪問着一覧はこちら

付け下げと訪問着を見分けるための5つのポイント

付け下げ_訪問着_見分け方

それでは見分ける際の5つのポイントを、詳しくご説明します。

着物の柄

最も分かりやすいのが「柄」の部分です。

・付け下げ
反物の状態で染めていくので縫い目に柄がかかりません。飛び飛びで付けられたり、こじんまりと小さく描かれたりする事が多いです。

描かれるのは訪問着に見られる大胆な模様ではありません。ただし、完成した時を考えて位置を決めるので、仕立てた際にキレイに仕上がります。裾や袖、胸や肩の部分にバランスよく現れます。

・訪問着
絵羽付け模様が最大の特徴です。広げた時に着物がまるで1枚の絵画のごとく、全体的に映えるよう計算をして装飾されます。縫い目に関係なく構図が考えられており、大胆でゴージャスになります。

つまり、縫い目に注目して柄がまたがっているかどうかで判断できます。

着物の格

先に用途の違いを解説しましたが、それがそのまま格差を表します。訪問着の方が格上と思って差し支えません。

訪問着は、古典的でゴージャスな柄をほどこした紋付になると準礼装(略礼装)としての取り扱いが可能です。一方で、付け下げはあくまでもオシャレ着なので、小紋と訪問着の間にランク付けされると覚えておくと良いでしょう。

着用できるシチュエーションは、共通している部分もあります。しかし、品位が求められる空間やイベントでは訪問着が無難な格好です。周りの状況と雰囲気を考慮し、TPOにあわせて使い分ける必要があるので注意してください。

着物の見た目

見た目で区別できます。
例えば呉服店などのお店に行ったときに、反物のまま置かれていれば付け下げと判断できます。訪問着は仮絵羽されている、つまり着物の形で衣桁(いこう)と呼ばれる家具に掛けられている状態が多いでしょう。

どちらもすでに仕立てられている場合は、柄に注目します。縫い目に関係なくつながった絵羽であれば訪問着と判断します。一方で、小さなパターン装飾が要所に見られれば付け下げになります。

最近は多様化の流れが和服業界にもあり、一見すると訪問着と見間違えるような「付け下げ訪問着」と呼ばれる中間に区分けされる新ジャンルも存在します。

付け下げ訪問着は、裾周りにはつながっている柄が入っています。とは言っても胸部や衿に関しては柄がつながっていないケースが多く、ここで判断が可能です。

さらに小紋と付け下げの中間に位置する「付け下げ小紋」というジャンルが存在します。
通常、小紋には小さい文様が上下の概念なく全体に染められています。付け下げ小紋は同じ繰り返しのパターンでも、必ず柄が上(肩山)を向きます。柄が常に上を向いているため、「一方付け」という別名があります。

着物の値段

値段でもある程度見分けられます。
さまざまな理由により金額は異なりますが、おおよその相場は以下のとおりです。

  • 付け下げ:10万円~100万円
  • 訪問着:15万円~200万円以上

格式のギャップがそのまま金額に反映されやすいです。仮に同じ素材、同じ染め方だとしても、2倍ほどの差が開くのが一般的です。

また付け下げは反物のまま巻かれていることが多いので、店頭における保管や取り扱いが楽なのでリーズナブルな料金が設定される傾向が強いです。

また和服は作り方でも代金に差が生じます。一般的に廉価な着物はほとんどで型染めと呼ばれる技術が用いられていますが、高級品になると手描きで彩られ。

高級百貨店や老舗呉服店などでは、300万円や500万円以上する時もあり、その価値については大きな幅があるのが実情です。

着物につける小物

・付け下げに推奨の小物
「袋帯」と「織りの名古屋帯」のどちらも組み合わせが可能です。

袋帯は、表にも裏にも模様がある丸帯を簡略化して生み出されました。より軽く仕立てるために、裏が無地です。軽量化により、しなやかで締めやすいというメリットを持ちます。

織りの名古屋帯とは、糸を交差させ模様を作り出し、糸を重なりで色を表現しています。立体的で、輪郭に硬さを感じる質感を生み出します。織りの帯ならきらびやかになり重厚感を強調させることが可能です。コーディネートで違った印象がつくれるのはおもしろいですね。

ただしすべての場合で、袋帯と織りの名古屋帯のどちらを使っても良いという訳ではありません。季節やイベントごとに、格調を考慮した帯選びが重要な項目です。

織りの名古屋帯のほかに、「染めの名古屋帯」という優しく女性らしさが強調される名古屋帯も組み合わせられます。特におとなしめでシンプルな場合、染めの名古屋帯を合わせるのも1つの手でしょう。

・訪問着に推奨の小物
色留袖と同じく、帯は原則として袋帯を使います。

ただし、裏を無地ではなく地紋のある生地を使った物や、表から1色をとった白地以外の裏地を使った物を合わせても大丈夫です。

金糸や銀糸で作られた袋帯を組み合わせれば、より華麗な印象を与えます。

小物全般に当てはまりますが、着物にすでに使われている色の1色を使ってコーディネートするのが鉄則です。その他のアイテムとして、例えばバッグならビーズ製やエナメル製のコンパクトなサイズがぴったりです。

まとめ

着物_付け下げ_訪問着_まとめ

今回は付け下げと訪問着の相違点について詳しく説明しました。本記事の内容をまとめたのが以下の表です。

付け下げ訪問着
染め方反物の状態で染める仮絵羽の状態で染める
飛び飛びで、つながっていない全体にひとつなぎの柄
格式オシャレ着準礼装(略礼装)
見た目控えめでシンプルゴージャスで華麗
金額10万円~100万円15万円~200万円以上

最も分かりやすい項目は、やはり柄です。縫い目に関係なくつながって入っていれば訪問着と判断しても差支えないでしょう。また、反物なのか仮絵羽なのかでも見分けられます。

金額に関しても付け下げの方がリーズナブルに設定される場合が多いため、分かりやすい点と言えますね。

最近はデザインが多様化され、種類の境界線が曖昧になり区別がつきにくい時もあります。付け下げでも訪問着と同じく華美な柄が付けられたものを見る機会も多くなってきました。それゆえ模様の格や見た目の豪華さで判断するのも見分ける便利な項目です。

ただし付け下げはあくまでもオシャレ着に分類されるので、結婚式などの形式ばったイベントにはふさわしくありません。振袖をセレクトするなど、TPOを考慮した使い分けでワンランク上を目指してみてくださいね。

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