着物を着るときに襟の向きを右前にするか、左前にするかで迷った経験はありませんか?成人式やお呼ばれの席で着物を着る機会があっても、いざ着付けをするときに混乱してしまう方もいると思います。実はこの着物の襟の向きは左右で意味が異なるため、正しい向きで着ることがとても大切です!
今回は、着物を正しく着るために知っておくと安心な襟の向きの合わせ方はもちろんのこと、着物を選ぶときにチェックしたい帯や生地の合わせ方などを一挙紹介します。
目次
着物の襟の向きを正しく合わせよう
正しく着物を着付けるためには襟合わせという言葉の意味や正しい襟合わせの向きについて知ることが大切です。まずは、襟合わせの基本知識をチェックしましょう。
▼着物の襟合わせとは
着物の「襟合わせ」という言葉を聞いたとき、どんな意味を表すのか疑問に思う方もいると思います。襟合わせとは、着物の襟元の向きを表します。「前合わせ」とも言うので覚えておくと安心です。
▼着物の襟合わせの向きについて知ろう
着物の襟合わせは左右どちらを前にするかで意味が変わります。それでは、左右それぞれの意味をチェックしましょう。
・右前(みぎまえ)
着物を羽織ったときに自分から見て右側を下に、左側を上に重ねた状態で着付けると右前になります。普段着物を着る際は、右前で着るのが正しい着方になります。
・左前(ひだりまえ)
着物を羽織ったときにご自分から見て左側を下に、右側を上に重ねた状態で着付けると左前になります。左前は亡くなった方に着せる着物の着方になるため、左前で着付けないように気をつけるようにしましょう。
また、近年着物を着てスマートフォンで自撮りをしたときに、襟合わせが左前になった写真を撮影し、SNSにアップしている方も見かけます。実際に右前で着付けたとしても、左前で写真をアップすることを縁起が悪いと感じる方もいます。撮影をする際は、カメラアプリの設定にある反転機能がオフになっているか確認するようにしてくださいね!
▼着物の襟合わせのよくある疑問点をチェック
着物の襟合わせをするときは、なぜ右前でなければいけないのか。男女で襟の向きが異なるのかどうかなど気になる方もいると思います。ここからは、着物の襟合わせを知る際にチェックしたい疑問点について紹介します。
・着物が右前と決まった理由は?
着物の襟合わせが右前に決まったのは奈良時代と言われており、奈良時代より前は着物の襟合わせの向きに規則はありませんでした。ですが、奈良時代に中国の習慣に習い「発令天下百姓右襟(はつれいてんかひゃくしょうみぎえり)」というすべての人が着物を右前で着るように、と定められたことが由来となっています。この発令天下百姓右襟が、襟合わせが右前になったきっかけになりました。
・男性や浴衣の場合も襟合わせの向きは一緒?
洋服のボタンは男女で左右が逆になっていますが、男性は自分で上着のボタンを留める風習があったことことから右利きの人が留めやすいようにボタンを右に、女性の衣装は使用人に着せてもらうことが多かったため左になったことが由来しています。ですが、着物の襟合わせは男女で一緒になるので注意するようにしましょう。
また、着物の種類が変わっても襟合わせは右前になります。浴衣を着た場合も右前に合わせるようにしましょう。
・正しい襟合わせの向きを覚える方法は?
着物の正しい襟合わせは右前になりますが、右前と言う言葉から「右側が前」と勘違いしてしまう方もいると思います。以下に襟合わせの向きを覚える方法を紹介しているので参考にしてください♪
- 正面から見たときに「y」の字になっているのが右前
- 右手が襟元に入るのが右前
▼着物の襟の角度をきれいに合わせるには?
着物の襟合わせは性別や着物の種類を問わず右前になりますが、襟の角度はどれくらいが適しているかも気になりますよね。実は、着物の襟の角度はTPOや体型合わせて調節をするのがポイントになります!ここからは、TPO別と体型別におすすめの襟合わせの角度を紹介します。
・フォーマルの場で着物を着る場合
結婚式やパーティーで着る際や、訪問着や留袖を着る場合は、襟を約90度、喉仏が隠れる程度まで襟を合わせて着るのがおすすめです。
・ちょっとしたお出かけで着物を着る場合
お茶会やちょっとした食事会で着物を着るときや、紬の着物などを着る場合は約60度、喉仏より低めの位置で襟を合わせるのがおすすめです。
・自分の年齢に似合う襟合わせをしたい場合
自分の年齡に似合う襟の角度を知りたい方もいると思います。以下を参考に自分の似合う角度を見つけてみてください。
- 若い方:襟を約90度にしっかりしめるときれい着こなせます。
- ご年配の方:襟を約60度程度に合わせるのがおすすめですよ。
・自分の体型に合わせて襟合わせをしたい場合
着物の襟は体型によっても似合う角度は変わります。体型の変化で着物の着こなしを変えたい方もチェックしてみてください。
- 華奢な方:襟を約90度にしっかりしめるときれいに着こなせます。
- ふくよかな方:襟を約60度にしめるときれいに着こなせます。
着物をおしゃれに着るための帯や生地の合わせ方は?
着物を着るときに帯や季節感に気を配ると、よりおしゃれに着こなすことができます。けれども、生地の違いなどを一目で見分けるのは難しいですよね。ここからは着物をよりおしゃれに着るためのポイントを紹介します。
▼その1.着物に適した帯を合わせているか
洋服を着たときにアクセサリーや靴を季節やTPOで変えるのと同様、着物の帯も季節やTPOに合わせて変える必要があります。着物のTPOだけではなく帯も合わせておしゃれに着こなしましょう。
▼その2.季節に合わせた生地の着物を着ているか
夏に薄めの生地の洋服を、冬にニットなどを着るのと同様、着物も季節や気温に適した生地があります。快適に着物を着こなすためにも季節に合わせて生地を変えて着物を着ましょう。
着物の帯の合わせ方は?
それでは、着物の帯の合わせ方について知りましょう。着物の帯の種類と適したTPOを知っておくと着物を買うときも安心して買うことができます。ぜひ参考にしてください。
▼着物の種類とTPOで合わせる
着物の帯にはいくつか種類があり、行き先に合わせて帯を変える必要があります。結婚式などの格式の高いお呼ばれの場には袋帯や華やかな名古屋帯を、ちょっとしたお出かけや食事会などには八寸名古屋帯(はっすんなごやおび)や半幅帯(はんはばおび)などを合わせるのがおすすめですよ!
▼着合わせに迷った方には帯セットもすすめ
着物の帯をチェックしてみたけれども、帯との着合わせに迷った方は帯と着物がセットになったものを購入するのもおすすめです。着物を買う際の買い忘れもなく安心です。
暑い夏や寒い冬でも季節感を合わせ、快適に着こなすためには生地もしっかり選ぶことが大切です。ここからは季節ごとにおすすめの着物の生地を紹介します。
▼単衣(ひとえ)
単衣は6月〜9月に着ることが多い着物です。生地が薄く、裏地がないため暖かい季節になるときに着るのにおすすめです。
▼袷(あわせ)
袷は10月〜5月にかけての寒い時期に着るのに適した着物です。裏地がついており透け感がないのが特徴です。
着物の襟合わせに気をつけながら和のおしゃれを楽しもう
今回は着物の襟合わせの正しい向きや意味の他、TPOごとにおすすめの襟の角度や帯の種類などを紹介しました。襟合わせを正すことは歴史だけではなく、マナーを守ったきこなしをするという意味でもとても大切です。長きにわたって伝わる文化を守りながら和のおしゃれを楽しみましょう♪