「紬(つむぎ)」は、街着として知られる着物です。
着物と帯を合わせるときのポイントや着用シーンさえ抑えておけば、着物に慣れていない人でもおしゃれに着こなせます。
紬の特徴を踏まえつつ、着物と帯の合わせ方と髪型をご紹介します。
目次
そもそも紬ってどんな着物?
「紬(つむぎ)」とは、日本各地で織られている伝統的な絹織物です。
糸を様々な色に染めて、その糸を組み合わせて縞(しま)や格子(こうし)などの模様を織り上げる技法から生まれる、渋い色柄や落ち着きのある風合いが持ち味。
紬着物はサラッとした軽い触り心地で、柔らかく体になじみやすいですが、種類によってはザラザラした触り心地のものもあります。
TPO・着用シーン | 街着が基本、洒落着 |
有名なもの ※染・メーカーなど | 大島紬、結城紬、牛首紬、黄八丈など |
紬糸はどのように作られる?
紬は、使い込むほど柔らかく扱いやすくなる絹ならではの性質や、ほどよく落ち着きのある光沢を備えている点も魅力です。
こうした特徴は、紬の原料となる「紬糸(つむぎいと)」に由来しています。
紬糸は、生糸を採取したあとに残った繊維の短い蚕の繭を、集めて潰して真綿(まわた)にし、手で捻りながら細く糸状に紡ぎ出したものです。
そのため、織り上がった生地には不規則な節(ふし)が生じていて、形状や太さが均一ではありません。
さらに糸にひねりがかかっていることで、光沢が抑えられてハリのある生地を作り出します。
また紬織りは、6種類の染色法と14種類の糸の配列があり、これらの組み合わせによって84通りに分類できます。
さらに細かな折り柄などが加わると、控えめでありながら多彩なバリエーションを楽しむことができます。
有名産地の紬着物
日本全国で生産されている紬着物は、その地域で生産されている原料を使っていてオリジナリティにあふれています。
ここでは、日本各地で生産されている代表的な紬の種類をご紹介します。
紬着物の代名詞・大島紬
鹿児島県・奄美大島発祥の「大島紬(おおしまつむぎ)」は紬着物の代名詞で、泥や藍、草木などの先染め技法と、独特の絣(かすり)使いが特徴です。
絣糸と地糸の色によって、一反の中に500万から1,000万の絣(点)を織り込むことで美しい模様を浮かび上がらせています。
その他、有名な紬織り
日本各地で生産されている紬は、大島紬以外にもこちらのような種類があります。
- 茨城県結城の「結城紬(ゆうきつむぎ)」
- 新潟県南魚沼市周辺の「塩沢紬(しおざわつむぎ)」
- 石川県の「白山紬」
- 沖縄県の「久米島紬」
- 越後上布の伝統的な技法で作られる「塩沢紬」
- 東京都八丈島が原産地の「黄八丈(きはちじょう)」
石川県の「白山紬」のひとつである「牛首(うしくび)紬」は、着物を釘に引っ掛けても釘の方が抜けるほど丈夫なことから「くぎ抜き紬」の別名もあります。
優れた麻織物として知られる塩沢紬は、越後上布の伝統的な技法で作られておりユネスコの無形文化財に指定されるほどです。
「黄八丈」は、鮮やかな黄色にくっきりとした縞模様や格子柄が印象的な紬です。
紬を着るおすすめの季節と場所は?
紬は外出着にふさわしい着物なので、普段着で行くような美術館、花火大会、和カフェやブックカフェ、クラシックコンサート、街を散策するときなどに着られます。
また、紬の着物を着る季節は春~初夏、秋がおすすめです。
夏用の紬もありますが、生地がしっかりしていて透け感が少ないため、着る時期は6月初旬までと9月半ばあたりが適しています。
着用を控えるべき場面は?
街着としてふさわしい紬は、結婚式や入学式などの特別な式典や、格式の高いパーティーには着用できません。
結婚式などの式典に着る黒留袖、色留袖、振袖、パーティーに着る訪問着に興味がある方は、こちらの記事が参考になります。
色留袖は着用シーンに注意しましょう。意外と知らない訪問着との違い?
おすすめの着こなし術
~紬の着物と帯の組み合わせ編~
紬の着物と帯の組み合わせによって、コーディネートの幅が広がります!
帯と着物を選ぶときは、見た目の素材感や雰囲気を合わせると違和感ありません。
紬の着物に合わせる帯の種類
基本的に、紬の着物に合わせやすい帯は2つです。
紬の着物はカジュアルな場面で着るので、帯もカジュアルに使えるものを選びましょう。
帯の名前 | 帯の特徴 |
---|---|
八寸名古屋帯 | 袋帯や半幅帯と比べると長さが短いため、簡単に締められる |
半幅帯 | 名古屋帯の長さを約半分で短く、帯の幅も狭くて結びやすい |
名古屋帯は普段着にも身につけられる帯なので、紬と相性が良いです。
ただし、名古屋帯は袋帯を簡単にして締めやすくした帯なので、正装には向いていません。
半幅帯は紬や浴衣に合います。
名古屋帯を短くして色々な締め方ができるので、普段着として着られます。
紬着物と帯の合わせ方のパターン
紬の着物には、ナチュラルな素材感が分かる紬の八寸名古屋帯や半幅帯がおすすめ。
例えば、以下のような組み合わせがあります。
着物 | 帯 |
---|---|
濃い色で無地の紬着物 | 色が薄くて柄の入った帯 |
淡い色で無地の紬着物 | 色が濃くてポイント柄の帯、無地の帯 |
縞柄の紬着物 | 無地の柄帯 |
着物姿をキリっとした印象にしたいなら、黒に近い紺の着物×濃い緑色の帯を合わせたり、紺色と鮮やかな青の着物×黒の生地に明るい柄の帯を合わせる方法もあります。
紬の着物は外出する目的や場所をイメージしながら、普段のコーディネートを考えるのと同じように着物と帯を組み合わせると楽しそうですね。
おすすめの着こなし術
~ヘアスタイル編~
紬の着物と帯を合わせるなら、髪もセットアップしちゃいましょう!
着物を着たらやってみたいヘアスタイルを3つご紹介します。
定番のお団子ヘア
髪の毛全体を耳の高さでまとめてねじったら、毛先を頭の先まで持っていきます。
次に毛先が隠れるように軽くねじりながら、根元に巻きつけて髪留めをして完成です。
すぐにできるまとめ髪
髪ゴム1つだけでできます。
髪を耳下に輪っか状に結んだら、輪っかの部分をほどよくほぐします。
アレンジしやすいシニヨン
シニヨンとはポニーテールを丸くまとめた髪型で、高さや形を変えるアレンジもできます。
髪をひとつにまとめてゴムで結び、トップの髪を所々引き出します。
次に、結んだ毛束を毛先までねじたらゴムに巻きつけて丸い形に整えます。
最後に巻きつけた毛束をピンで固定して完成です。
簡単にできるヘアアレンジを知っておけば、その日のコーディネートや気分によって時間をかけずに楽に変えられます。
着物をコーディネートしたら合わせて髪型も整えて、いつもとは違う自分を楽しみましょう。